阿寒湖温泉徹底解説
世界でも珍しい丸いマリモが生息することで有名な阿寒湖は火山の噴火によって生まれたカルデラ湖です。湖の周りを雌阿寒岳・雄阿寒岳に囲まれており、周囲約26km、海抜420mとなっています。
湖上には大島、小島、ヤイタイ島、チュウルイ島の4島が浮かんでおり、その中でもチュウルイ島にはマリモ展示観察センターがあり、観光遊覧船で行くことができます。
また阿寒湖の畔には温泉街が広がり、温泉旅館やホテルが湖畔に沿って立ち並びます。
温泉街にはアイヌ文化を反映するお土産が立ち並び、温泉街にあるアイヌコタンは北海道最大級のアイヌの集落です。
今回はそんな阿寒湖と阿寒湖温泉、そして温泉街の隣にあるアイヌコタンについてご紹介して阿寒湖観光を予定されているみなさんに少しでも有益な情報を得ていただければ幸いです。
阿寒湖遊覧船で阿寒湖を一周
阿寒湖観光の目玉とも言えるのが阿寒湖遊覧船
で、温泉ホテルの立ち並ぶ阿寒湖湖畔を出発し景勝地である滝口、そしてマリモ展示観察センターのあるチュウルイ島を経由して阿寒湖畔へと帰ってきます。
滝口とは阿寒湖の東南端にあたる入り江に接した地点で、阿寒湖で唯一の流出河口となっており、ここから流れ出した水が太郎湖の水と合流して阿寒川へ流れ出ている様子が滝のようであることからこのあたりは「滝口」と呼ばれるようになったそうです。
滝口のあたりには小さな小島がいくつもあり、まるで日本庭園のような風景が広がっています。
チュウルイ島にあるマリモ展示観察センターでは阿寒湖に生息するマリモについて詳しく解説されているとともに、巨大なマリモも展示されています。
なぜ、藻が阿寒湖では丸いマリモに育つのか。それは、湖の形、湖底の状態、波動の環境、水源の多様性など、さまざまな条件を阿寒湖が偶然にもクリアしたことによります。詳しくはぜひ、展示観察センターで確かめてください。
ボッケ遊歩道
ボッケとはアイヌ語で「煮え立つ場所」という意味で「泥火山」のことを意味します。
阿寒湖畔エコミュージアムセンター裏から北に15分ほど歩くとこのボッケがあり、ここでは地名としても使われています。ボッケの森はエゾマツやトドマツなどの針葉樹とカツラやミズナラなどの広葉樹が混じってできた森に、エゾシカやエゾリスなどの野生動物が生息している自然豊かなところです。
また秋には遊歩道内の木々が赤々と紅葉し、阿寒湖の澄んだ青色との対比が非常に美しく見えます。
ボッケ遊歩道は阿寒湖畔エコミュージアムセンターからボッケを通り、観光船乗り場まで続いており、気軽に阿寒湖の自然にふれられるネイチャースポットです。
アイヌ文化に触れるアイヌコタン
阿寒湖には古くからアイヌの人々の集落、コタンがありました。そのコタンは現在でも現在でアイヌの人々が木彫りの民芸品などを作り、観光客と交流しています。アイヌコタンには民芸品を扱うお土産屋さんのほか、本格的なアイヌ料理から現代の料理とアイヌ料理を組み合わせたオリジナル創作アイヌ料理が楽しめるお店もあります。
アイヌ料理を食べるならポロンノ
アイヌコタンの入り口にあるポロンノさんは本格的なアイヌ料理から創作アイヌ料理を提供してくれます。
おすすめのアイヌ料理はポッチェイモです。
じゃがいもを寝かせて発酵させて作ったもので溶かしバターとお塩をかけていただきます。発酵させているだけあってじゃがいもの甘みと旨味がたっぷり詰まった一品です。
アイヌ料理以外にも鹿肉のサイコロステーキやヒグマ肉も食べられますよ。
阿寒湖アイヌシアター イコロ
アイヌ古式舞踊
阿寒湖アイヌシアター イコロでは国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ世界無形文化遺産にも登録されたアイヌ古式舞踊を見ることができます。
儀式のとき、親戚や友人が集まったとき、あるいは日々仕事をしている最中でも、人々は遠い昔から歌い、踊ってきました。喜びや悲しみを身体で表現するアイヌ古式舞踊は、自分たちが楽しむだけでなく、カムイ(神々)や祖先に対して敬意や感謝を捧げる表現でもあります。
白老町にオープンしたウポポイでも同様の古式舞踊を見ることはできますが、やはりアイヌの血を引く人々の古式舞踊は格別です。
自然を敬い、自然と共存する生活の中から生まれたアイヌの踊りには鳥や狩り、遊びなどの題材がたびたび登場します。踊りの種類も、大勢で輪になって踊るもの、少人数で神々への祈りを捧げるもの、安全な漁や収獲を感謝するもの、悪霊を追い払うためのもの、労働する様子を表したものなど様々なものがあります。
ロストカムイ
2019年3月より演目を開始した阿寒ユーカラ「ロストカムイ」は「アイヌとエゾオオカミとの共生」をテーマとした物語です。
最新のデジタル技術とアイヌ古式舞踊が融合し、自然を尊び共存してきたアイヌ民族の暮らしの中から生まれた歌や踊りなど、 アイヌ文化の世界観を存分に体感することができます。
アイヌは、カムイ(神)の世界とアイヌの世界、ふたつの世界があると信じています。
動物や植物、自然現象、この世のあらゆるものに魂が宿ると考え、すべてがカムイたる存在として、ともに生きる家族として、お互いを尊重してきました。
カムイの中でも、エゾオオカミは別格で狩りがうまく、アイヌにとって憧れの存在だったエゾオオカミは、「狩りをする神」ホロケウカムイと呼ばれています。
しかし、1879年の大雪による影響で、エゾオオカミの食料であったエゾシカが激減し、さらに本州から渡ってきた開拓者たちの家畜を襲うことから邪魔者とされエゾオオカミは絶滅に追い込まれました。
カムイは、怒りや過ちを夢で知らせるといいます。失われたカムイたちは、何を想い、何を語るのか....
旅の疲れは阿寒湖温泉で癒す
阿寒湖周辺から良質な温泉が多く湧き出しており温泉旅館も様々なタイプのものがあります。
泉質は、万人のための湯と言われています。万人の湯と呼ばれる由来は無臭無色透明という泉質と広範囲に柔らかな効果が期待できる効能からです。
単純温泉で無味無臭のためお湯に浸かると
あれ?これ本当に温泉なの?普通のお湯じゃない?
と感じる人もいると思います。
そう感じた時は肩までしっかり10分は温泉に使ってください。そうすれば温泉を上がった後に中々身体が冷めずいつまでもポカポカしているのがわかると思います。
阿寒湖のおすすめレストラン
阿寒湖で釧路根室名物を頂ける喫茶「エルム」
喫茶「エルム」はアイヌコタンにもほど近い温泉街にある喫茶店です。喫茶店ではありますが本格的な食事をすることもできます。
釧路名物のスパカツや根室名物のエスカロップ(エルムではエルムライス)、同じく根室名物のオリエンタルライスなどが頂けます。
スパカツはカツレツをミートソーススパゲティの上にのせた料理のこと。黒い鉄板皿に盛られています。
エスカロップはバターライスに豚カツを乗せてドミグラスソースを掛けた料理です。
オリエンタルライスはドライカレーに焼いた牛肉のサガリ(ハラミ)をのせ、ドミグラスソース仕立てのソースをかけた料理です。
その他カレーやオムライス、デザート類もありどれを食べても美味しいですよ。
阿寒湖のにじますとワカサギを頂く「郷土料理 奈辺久(なべきゅう)」
「郷土料理 奈辺久」は阿寒湖で取れたにじますやワカサギを使った料理を頂くことができます。阿寒湖で取れた新鮮なにじますのお刺身はサーモンのような旨味とあっさりとした舌触りが特徴です。
ワカサギはそのまま丸ごと天ぷらにして頂けます。ワカサギの天ぷらはサクサクとした衣と柔らかい身、そして秘伝のタレが相性抜群!
名物のワカサギ丼はワカサギの天ぷらがたっぷり乗っていて飽きるまでワカサギを堪能できます。
その他にも鱒の卵とお刺身の親子丼やヒメマスの丸焼きなど阿寒湖ならではの名物を頂くことができるので何度も足を運んでしまう名店です。
阿寒湖の四季
まだ寒い、雪解けの春
3月でも0度から5度程までしか気温が上がらず、4月もまだ雪が降りますが、阿寒湖の氷が砕けはじめ、植物が芽を出します。
阿寒湖の遊覧船は毎年4月下旬から運行を開始します。その営業開始1週目だけは、期間限定で「砕氷帯観光遊覧船」が運行されます。
割れた氷の間き進む、阿寒湖だけの貴重な体験ができ、遊覧船からは雌阿寒岳、雄阿寒岳を眺めることができ、この時期にしかみられない光景を見ることができます。
緑が芽吹く暖かい夏
阿寒湖は夏でも涼しく夜は冷え込みます。緑が最も美しく芽吹きますが雨の日も増えるのが特徴です。
夏は気温が高く外に出やすいため遊覧船やアイヌコタンの散策などに寒さを気にせず出かけられるベストシーズンと言えます。
ボッケ遊歩道の紅葉が美しい秋
秋には自然豊かな草木が一斉に赤々と紅葉していきます。特にボッケ遊歩道と滝口は紅葉の名所として知られています。また10月にはマリモまつりが開催され、かつて密猟によって失われたマリモが阿寒湖に帰ってきたことをお祝いします。
阿寒湖が凍りつく極寒の冬
冬は、60センチメートルほどの厚い氷に覆われる阿寒湖。1月~2月頃の気温は、氷点下20℃以下になることもあり、極端に寒いからこそ楽しめるアクティビティがあります。
冬の阿寒湖でぜひ体験したいのが、「鶴雅アドベンチャーベース SIRI」の開催している朝食前の時間にモーニングコーヒーを飲みに行く「モーニングカフェ ツアー」です。
このツアーの目玉は、氷上で暖かい飲み物をいただくこと。スタッフは、コーヒーを淹れてくれます。体を温めながら、早朝の氷上ウォークを満喫できます。
阿寒湖へのアクセス
阿寒湖へのアクセスについて以下のサイトに詳しくまとめられています。
ルートとしては釧路空港かJR釧路駅、北見駅を起点にバス利用となります。
http://ja.kushiro-lakeakan.com/travelinfo/7769/
まとめ
今回はマリモとアイヌと温泉の湖、阿寒湖をご紹介してきました。宿から徒歩圏内にありとあらゆる観光地とご当地グルメがぎっしり詰め込まれた観光地は北海道内、日本全国見てもなかなかありません。北海道に訪れる際はぜひ阿寒湖で二泊ほどしてゆっくりとその魅力を感じてみてください。